2017年 観劇の記録

こんにちわ。

2017年になっても、あいもかわらず小劇場にハマっています。週末には下北沢近辺の劇場にちょこまか出没しております。

経済的状況(金欠)もあるので2017年は観劇数を減らそう……好みの劇団とか役者さんもわかってきたし……とかと思いつつ、いや、若干減ってはいるし。

そんなこんなで、2017年観劇した作品のリストと、1年観劇した感想をここに書き留めておきます。相変わらず、どこかの劇団に関係しているとか、演劇を学んでいるとか、そういった類いのことはなにもない、ただの観劇おじさん※1です。感想とかエラそうなことを書いておりますが、ドのつく素人の偏見やらなんやらなので仔細はご寛恕。

劇団 タイトル 劇場
1 地人会新社 豚小屋 新国立劇場 小劇場
艶∞ポリス 艶∞ポリスの休日「独身やし、孤独やし、怖いやん!」〜木戸雅美が劇団員になりました〜 サラヴァ東京
桃尻犬 メロン農家の罠 OFF・OFFシアター
鵺的トライアル フォトジェニック SPACE梟門
キリンバズウカ コルドファンVol.2「都道府県パズル2017」 シアターミラクル
江古田のガールズ パル子の激情 本多劇場
20歳の国 花園プロジェクト2017「花園BLUE」 すみだパークスタジオ倉
リジッター企画 日の脚、わづかに見えて 小劇場楽園
テアトロコント15 短編集 ユーロライブ
ナカゴー ベネディクトたち あさくさ劇亭
アマヤドリ 銀髪 本多劇場
地蔵中毒 第一次『へその緒再生プロジェクト』 プロトシアター
2 劇団献身 女の壁 再演 スタジオ空洞  
  東葛スポーツ 東京オリンピック2017   アーツ千代田3331  
  reset-N Beauty   ザ・スズナリ
  庭劇団ペニノ ダークマスター 再演 こまばアゴラ劇場  
  二兎社 ザ・空気   東京芸術劇場 シアターイースト  
  劇団鋼鉄村松 オセロ王   花まる学習会王子小劇場
  劇団子供鉅人 マクベス   本多劇場  
  サンボン 口々(くちぐち)   サンモールスタジオ  
  国産第1号 安心   駅前劇場  
  劇想からまわりえっちゃん 溶けて解せない   花まる学習会王子小劇場  
    ウズベキスタンにムラムラする   アトリエ春風舎  
  椿組 始まりのアンティゴネ   ザ・スズナリ  
  Ank ジャーニー   SPACE雑遊  
  ぬいぐるみハンター もれなく漏れて   OFF・OFFシアター  
  犬と串 Peach   シアター風姿花伝  
3 若手演出家コンクール2016「みそ味の夜空と」 「劇」小劇場
栗☆兎ズ 蛇の足がき 新宿眼科画廊
ぱぷりか こことは OFF・OFFシアター
しなやかに見渡す穴は森の雨 あうるすぽっと
西尾佳織ソロ企画 西尾佳織2020(出演:野津あおい) 「劇」小劇場
シンクロ少女 未亡人の一年 ザ・スズナリ
あひるなんちゃら これは中型の犬ですか? 駅前劇場
鳥公園 ヨブ呼んでるよ こまばアゴラ劇場
ベッド&メイキングス あたらしいエクスプロージョン 浅草九劇
鳥公園 ヨブ呼んでるよ こまばアゴラ劇場
サファリ・P 悪童日記 こまばアゴラ劇場
女王と呼ばれた女 新宿村Live
4 劇団 でん組 家族の神話   中野ザ・ポケット  
  かきあげ団 町田リス園のみんな!団長、ポン酢の川で溺死したい!!   新宿眼科画廊
  ほりぶん 得て 再演 阿佐ヶ谷アルシェ  
  ONEOR8 世界は嘘で出来ている 再演 ザ・スズナリ  
  劇団普通 変身   新宿眼科画廊
  東京にこにこちゃん 傷、何も癒えなくて…春   幡ヶ谷スペースGAMP  
  牡丹茶房 女学生J 再演 日暮里d-倉庫  
    オルギア視聴覚室Vol.2 短編集 上野恩賜公園野外ステージ
  艶∞ポリス 個性が強すぎるのかもしれない   駅前劇場  
    ハムレット   東京芸術劇場プレイハウス  
  Dr.MaDBOY マウント   花まる学習会王子小劇場  
  アナログスイッチ 愛でもないし、youでもなくて、ジェイ。   花まる学習会王子小劇場
    テアトロコント18 短編集 ユーロライブ  
  デス電所 すこやかに遺棄る   OFF・OFFシアター  
5 渡辺源四郎商店 鰤がどーん ザ・スズナリ
うさぎストライプと親父ブルースブラザーズ バージン・ブルース こまばアゴラ劇場
MCR 不謹慎な家 OFF・OFFシアター
MCR 佐藤さんは殴れない OFF・OFFシアター
素晴らしい一日2017 駅前劇場
右マパターン ぱっくですますくめろんばっく アーツ千代田3331
小松台東 山笑う 三鷹市芸術文化センター 星のホール
ナカゴー 紙風船文様 あさくさ劇亭
MU GIRL(『めんどくさい人』『スーパーアニマル』) SPACE雑遊
6 シベリア少女鉄道 たとえば君がそれを愛と呼べば、僕はまたひとつ罪を犯す   赤坂RED/THEATER  
  フロムニューヨーク そろそろセカンドバッグ オムニバス OFF・OFFシアター  
  動物電気 タイム!魔法の言葉   駅前劇場  
  こq 地底妖精   SCOOL
  日本のラジオ ミズウミ   Gallery & Space しあん  
  パラドックス定数 九回裏、二死満塁。   中野テルプシコール  
  中野坂上デーモンズの憂鬱 園っ、   花まる学習会王子小劇場
  ろりえ ろりえリブートvol.1『逮捕(仮)』「家」ver 再演 Gallery & Space しあん  
  チェルフィッチュ 部屋に流れる時間の旅 再演 シアタートラム
  ロデオ★座★ヘヴン 大帝の葬送   花まる学習会王子小劇場  
7 VAICE★ 泥の中 駅前劇場
劇団子供鉅人ピンク・リバティ 人魚の足 シアター711
□字ック ライブハウス×演劇公演『Y FUTAMATA』 短編集 下北沢 近松
鳥公園 すがれる/2012-2017 準新作 こまばアゴラ劇場
劇団かもめんたる ピンク・スカイ 駅前劇場
シンクロ少女 シンクロ・ゴッサム・シティ シアター711
鵺的 奇想の前提 テアトルBONBON
気づかいルーシー 再演 シアターイースト
ナカゴー ていで 浅草九劇
8 やっせそ企画 ワンマン・ショー 脚本提供 SPACE雑遊  
  20歳の国 サマデーナイトフィーバー   すみだパークスタジオ倉  
  江古田のガールズ 解散 再演 サンモールスタジオ  
  ままごと わたしの星 再演 三鷹市芸術文化センター 星のホール
    テアトロコント vol.21 短編集 ユーロライブ  
  吹越満 フキコシ ソロ アクト ライブ   東京グローブ座  
    15 Minutes Made Anniversary 短編集 吉祥寺シアター  
  ナカゴー 地元のノリ   アートシアターかもめ座
  あひるなんちゃら お祭りやってるらしいよ   駅前劇場  
9 かきあげ団 なじみたいっ!〜気球に乗ってどこまでも篇〜 再演 スタジオ空洞
Q 妖精の問題 こまばアゴラ劇場
ワーニャ伯父さん 新国立劇場小劇場
劇団普通 帰郷 スタジオ空洞
艶ポリス ハッピーママ、現る。 駅前劇場
ロロ BGM ザ・スズナリ
good morning №5 豪雪 駅前劇場
コノエノ! スタディー・イン・ニュージーランド シアター711
10 日本のラジオ CURTAIN   三鷹市芸術文化センター 星のホール  
  シンクロ少女 LOVE -chapter1-   OFF・OFFシアター
  なかないで、毒キノコちゃん ぼうぼう   王子スタジオ  
  笑いの内閣 名誉男性鈴子―見た目は淑女 中身はおっさん― 再演 こまばアゴラ劇場  
  ままごと わたしが悲しくないのはあなたが遠いから   シアターウエスト  
  ままごと わたしが悲しくないのはあなたが遠いから   シアターイースト  
  ほりぶん 牛久沼   北とぴあ・カナリアホール
  ヨーロッパ企画 出てこようとしてるトロンプルイユ   本多劇場  
11 ニッポンの河川 大地をつかむ両足と物語 葛西臨海公園 展望広場
下鴨車窓 冬雷(ふゆのらい) こまばアゴラ劇場
MCR 墓堀り人と無駄骨 ザ・スズナリ
庭劇団ペニノ 地獄谷温泉 無明ノ宿 再演 KAAT神奈川芸術劇場〈大スタジオ〉
地蔵中毒 無教訓意味なし演劇番外編「ハムレット(ウエストポーチ着用ver)」 アートスペースサンライズホール
東葛スポーツ ハウス 六本木スーパーデラックス
うさぎストライプ セブンスター アトリエ春風舎
12   どらま館ショーケース 短編集 早稲田どらま館  
  うさぎストライプ ゴールデンバット   アトリエ春風舎  
  ナイロン100℃ ちょっと、まってください   本多劇場
  城山羊の会 相談者たち   三鷹市芸術文化センター 星のホール
  味わい堂々 たまご祭り   スタジオ空洞  
  シベリア少女鉄道 〈シベリア劇まつり〉「残雪の轍(わだち)/キャンディポップベリージャム!」   サンシャイン劇場  
  マキーフン 髪をかきあげる   新高円寺アトラクターズ・スタヂオ  
  ろりえ 桃テント   駅前劇場  
  江古田のガールズ 地獄   小劇場楽園  
  シンクロ少女 オーラルメソッド4「40歳の童貞男」 作品集 駅前劇場  
  中野坂上デーモンズの憂鬱 閃光っ   ゴールデン街劇場  
  チェルフィッチュ 「三月の5日間」リクリエーション   KAAT神奈川芸術劇場〈大スタジオ〉  
  かきあげ団 かきあげ団、海へ行く。   新宿眼科画廊  

2017年は、のべ126作品を観劇しました。

観劇の記録をつけていて思ったことなのですが、完成度が高く圧倒された作品と、記憶に残っている印象深かった作品というのが、かならずしも一致していないこともあるな、ということ。完成度が高い=とても笑った作品、舌を巻くほど巧みな脚本、情熱的な演技……そういったものにたくさん出会えて、それは、ただただ感動するばかりなのですが、一方で、この話の筋はちょっと違うんじゃないのかなとか、この劇団は次の作品に期待かなとか、その場で感じたとしても、あとから妙に気になってきたり、あるとき、ふ、とそういえば、アレはああいう意味があったのではないだろうか?なんて、思いだしたりする作品があります。

そんなこともあり、今回のリストには、表の一番左に「」マークと「」マークをつけました。ひと月の中でいちばんよかった月刊MVPには「」マークをつけました。それとはべつに、印象深かった作品には「」マークをつけています。どちらも月イチにしたつもりでしたが、見返してみたら複数ある月もありました(そのへんは、まあユルめで)。

勝手に優秀作品賞

順位づけをするのは悩ましいところがありますが、私見2017年1位の作品は、

  • チェルフィッチュ『部屋に流れる時間の旅』

でしょうか。

名前はあちらこちらで耳にするチェルフィッチュ。チケットが取れなかったり時間が合わなかったりしたこともあって、初めてのチェルフィッチュ観劇でした。まあ、噂に違わず素晴らしかった。動きひとつひとつが油絵の絵画のように美しくて、息をのみました。

(……余談ですが、シアタートラムは天井が高いし、影のできかたとか、壁の感じとかも含め、勝手に「上品な劇場」だという印象を持っています。今年、城山羊の会が『自己紹介読本』をトラムで再演するらしいのですが、上品な劇場で、あの破廉恥な話がどうなるんだろう?と期待しています。)

くわえて、あえてbest5くらいまで絞り出すなら……

  • ナイロン100℃『ちょっと、まってください』
  • MCR『墓堀り人と無駄骨』
  • こq『地底妖精』
  • ままごと『わたしの星』

……とかでしょうか(わりあい堅実な名を挙げているところがミーハーなところ)。こqは、『毛美子不毛話』で岸田國士戯曲賞最終候補Qのアナザーラインだそうです。3公演、客席数もすくなめだったかな。冒頭にとっつきにくさがあったのだけど、どんどんとボルテージが上がって目が離せなくなっていく。一人芝居(?)の演技もかなり見応えあった。もっとたくさんの人に見てもらってもいいんじゃないかな。3公演で終わらせるのもったいない。Q『妖精の問題』のときにも痛感しましたが、いい意味で女性にしか書けない感性だと思います(デーデルライン桿菌なんて単語、男性からじゃ出てこないでしょう)。書き手としてもノリにノってる感じがしますね。近いうちに岸田國士戯曲賞射とめないかな。

MCRはいつも話の巧みさに感心するんだけど、回を追うごとに傑作を上書きしていく感じがする。どこまで行くのだろう。

エラそうなことを言うと

」マークをつけた印象深かった作品と、そのほかに気になった作品についてちらほら。

「印象が残った」というのは、なにか心に引っかかるものがあるものとか、ふとしたことで思いだしたりする作品だったりします。輝いている俳優さんがいた、とかもあるかな。そのほかに「まだそんなに知名度がないようだけど、この先もっとおもしろい作品をつくりそうな気がする……」と感じたものもあります(っていうか、そんなに詳しくないくせに、なんだかエラそうなこと言ってますが)。

2017年で一番気になった作品は、栗☆兎ズ『蛇の足がき』。この上演のあとに改名して、いまはウンゲツィーファという名前になりました。劇団名からして「アングラかな?」とすこし構えて見にいったのですが、そんなことはなくて、しっかり話を作り込んでいた(改名してよかったと思う)。わりあい静かに対話が進んでいく好きなテイスト。上手くいかない葛藤、人の本音、建前、見栄、もがいている人間くささを描いているところに好感。単純に「次の作品も見てみたい」と思った。私の見た回は結構席が空いていたのだけど、空席ができるような作品ではないよ。スクリーンで映した文字の書体は気に入らなかった。

ちなみに、ウンゲツィーファとは、カフカの『変身』で、主人公が変身してしまうなにかの呼び名だそうで、ちょうどそのあとに同じ新宿眼科画廊で、劇団普通が『変身』を上演(この作品もすごくよかった)するという偶然っぷり。

ぱぷりか『こことは』。ぱぷりかは2回目の観劇。以前みたときより、心情の描きかたが深くなっていて(なんかエラそうな私……)、次の作品も見てみたい。

牡丹茶房の『女学生J』。牡丹茶房は初めて見たけど、この作品は劇団のアイデンティティというか、創作に対する力強い意志を感じる作品だった。熱量のすごい作品だった。溢れる情熱を持ったクリエイターが、どうやって世界にくさびを打ちこんでいくのか、期待してしまうのです。

「結局どういうのがスキなの?」と訊かれても

気になる団体は、なるべく足を運ぼうとしているなかで、いわゆるアングラといわれているものも手を出すようになりました。エロ・グロもあるところにはありますね。極めつけは『オルギア視聴覚室』だったと思います。まあ、どこまでがアングラなのかって線引きはよくわからないけれど。

アングラは、地下に棲息しているからアングラなわけで、でも考えてみたら、テレビとか映画に比べたら、小劇場自体がアンダーグラウンドなワケだよね。そして、劇団「地蔵中毒」や、中野坂上デーモンズの憂鬱なんて、いかにもアングラな団体だけど、それは、そういう雰囲気をもっているだけって感じ。アングラな劇団は、けっしてクオリティが低いわけでもない(あるいは、ユルいことで味が出ていたりする)し、実力が無いとは思えない。「すごく真面目なんだろううな」なんて感じることも多い。

それに、全国的にも名が知られている劇団かもめんたるや、昨年の岸田國士戯曲賞最終候補のQの作品は、結構どぎついことやってて、唖然としたり(劇団かもめんたる『ピンク・スカイ』が1年の中でもっとも下ネタすごかった)。だから、実際にメジャーとかアングラとか、作品としては垣根が無いのではなんじゃないかな。

テレビや映画のように、メジャーな世界はある。そこは、やはりクオリティも高いし、一部の地域、一部の人間のみが見るようなものではなくて、大多数の人間に賛同・賞賛され、まあ、つまり大多数の人間がお金を払う作品。それを否定するつもりもないし、そうやって多くの人が感動しているのも事実だし。だけど、大多数が賛同するものって、意外とほんの一握りの世界を写しているだけに思えるのです。偏っていくし、不快なものはどんどん駆逐されていく。

小劇場のような、小規模で、ひと掬いの人しか見る機会がない、そして記録にも残らないかもしれないようなものかもしれないけど、もっと挑戦的に作品をつくってるし、なにより自由だし(これみよがしに放送禁止的な単語を使ったり、猥雑な言葉を言ったりしてるのがあると、どうかな?とおもうこともあるけど)。チラシ見てるだけでも劇団ってわんさかある。その分だけ表現があると考えると、無数におもしろさがかくれているはず。30人入らない舞台作品が衝撃的におもしろいこともあるしね。

……まあ、とりとめないことを書いていますが、もっと劇場に人が入ればいいのになあ、って。空席があると淋しくなるのよ。

傾向っていうか

テレビと違う……という点で、舞台でしかできないというか、いま流行の忖度的なことで(本当にあるのかどうかは知らないが)メディアではできないであろう政治的に風刺や揶揄を感じるものも見受けられました。

二兎社『ザ・空気』は、まさにいまのご時世に鋭くツッコんでくるもの。政治・権力の、もしかすると起こりうるかもしれない負の未来像。こういうのを見たら、もっと選挙の投票率上がるでしょ。

ロデオ★座★ヘヴン『大帝の葬送』も天皇の退位の話が深まってきた今にちょうどよいいテーマだった。

笑いの内閣の『名誉男性鈴子―見た目は淑女 中身はおっさん―』。笑いの内閣はテーマがおもしろいし、一方向ではない考えかたを提起してくれる。単純に演劇の範疇から拡がりを見せる内容。田嶋陽子さんとアフタートークって、ワクワクした。まあ、またテレビのことを言ってアレだけど、田嶋陽子さんって、私がまだ若いころにテレビでガーガーいっていたという印象しかなかった。だけど、生で編集されていないトークを見る限り、ふつうに明晰なかただとわかった(まあ、そんなものだよね。一部だけ見て判断するってホントに危険)。

時事からは離れるけど、劇団鋼鉄村松『オセロ王』も、笑える話なんだけど、根は人種差別の問題がる。普遍的なテーマに切り込んでいる深みを感じた。

「で? 好きな劇団はなんなの?」と訊かれても

私的に「公演を打つならぜったい見に行こう」と思っているのは、江古田のガールズ、MCR、小松台東、シベリア少女鉄道、城山羊の会、シンクロ少女、鳥公園、ナカゴー、ほりぶん……ほかにも、艶∞ポリス、20歳の国、中野坂上デーモンズの憂鬱、パラドックス定数とかも……うーん、挙げるときりがないかな。

江古田のガールズは、「面白くて分かり易い」というのをみずからかかげているワケだけど、この「分かり易い」という部分を非常に真剣につくっている。「ベタな」ってワケじゃなくて、煩わしさのない、すっと入りこんでくる台詞と演技のおもしろさがある。ノイズのない笑い。池上某ではないけれど、わかりやさを研ぎすますのって、かなりのチカラが必要とされるのは想像できる。作品自体はふざけた笑いでちりばめているけれど、つくりこみにはなみなみならぬストイックさを感じる次第。

MCR、小松台東、シベリア少女鉄道、城山羊の会、シンクロ少女……このへんは、もう昨年から引きつづき「スバラシイ!」につきる。シンクロ少女の『LOVE -chapter 1-』はおとなの恋愛の話。平日のみの公演(12月に再演したけど)でしたが、肩の力が抜けた感じでとてもたのしかった。シンクロ少女の作品は、心にずしずしくるのも多いから。再演時に時間が合えばもう一度見たかった。シベリア少女鉄道の、フリを回収しながらさらにフリを入れてる感じとかすごいよね。劇場が大きくなってチケット取りづらくなる心配がでてきた……

鳥公園は単純に好きな劇団。今年のは難しかったかなという印象。

ナカゴー、ほりぶんは、作演出が同じかたなのでアレですが、ほりぶん『牛久沼』は、2017年で一番笑いました。途中で笑い疲れるという事態が起きるほど。ナカゴー『ていで』は、開演前に役者が舞台上で演技の練習(?)している。話が始まる前に、客はなんとな〜くあらすじと笑いのポイントがわかってしまう。さらに、冒頭で話の内容を役者が説明してしまうという、最高なパンクな作品。それでも笑わせてやろうと意志表明? そして、笑ってしまう。ほりぶん『牛久沼』にも、当日パンフレットにあらすじ全部書いてあったし、なんかこの境地はすばらしい。

ちなみに、ナカゴー『地元のノリ』はカッパが出てくる作品。そのあと、ほりぶん『牛久沼』。今年1月に『牛久沼2』という作品をやるので、牛久になにかあったのかな。

中野坂上デーモンズの憂鬱は、今年2作観劇。台詞がどんどん高速になっていって、言葉なのか音なのか、音楽的な実験をしているかのようでもあった。『園っ、』という作品をそこそこの広さのある王子小劇場で観劇したあとに、『閃光っ』を狭いゴールデン街劇場で見た。そのためか、空間の拡がりがなくてもったいないなと思った。ゴールデン街劇場、音の反響も少しチープ(それも劇場の魅力ではあるのだが)。広い舞台でも十分に魅せてくれる実力のある劇団だと思う。

逆に言ってしまうと、できるだけ見るのはよそうと思っているのが、劇団「地蔵中毒」。おもしろい。おもしろいことは間違いないんだけど、もう破壊的な笑い。これを認めてしまうと、いままで「これがおもしろい」とか「これがすき」とか考えていた価値観がぜんぶ崩壊してしまう……と恐ろしさも感じてしまうのです(と言いつつも、年内で3回観劇したが)。『15 Minutes Made Anniversary』に参加して、吉祥寺シアターにも出演。今年はテアトロコントにも出るよう。躍進めざましい。だけど、だれも彼らにあこがれてはいけないと思う。地蔵中毒は唯一無二の地蔵中毒なのだ。真似すると怪我すんぞ。

最後にかきあげ団をとりあげよう。通算4作品を見ているのだけど、なんでこんなに惹かれるのか謎の劇団。アングラ?というにはエロもグロもないし、むしろ会場がほんわかあったかい、ゆるふわ空間。この雰囲気は、劇団員ふたりの愛されるパーソナリティのなせる希有な空間だろうな。応援したくなる。接点のない一観客の私でも引き込まれてるし。話も妙な巧みさがあって普通におもしろい。SNSをフォローしてないとわからなくない?ってところもあるけど。そういえば、かきあげ団はアイドルユニットになるとかなんとかいうのをどこかで見たような気がするけど、団員くんの前説もさることながら、開演して団長さんが演技を始めたとき、「キター」って感じでテンションあがった。もはやアイドル。

まとめに「いかがでしたか?」とか書くヤツ大嫌い

感想をまとめるの結構面倒だったもので、2017年分は短めに終わらせようかなと思っていたのですが、わりあい長い文になりました……リストを見ているとアレコレ書きたいことが出てきますね。書き足りない劇団や作品が多々あるのですが、キリがなくなるのでこれくらいで留めておきます。

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