オオルトの雲おおるとのくも
アラサー女性のカリスマ(?)いかるがつみきにる書き下ろし短編集。
不思議な少女との出会いの物語『あじさい』
モダン夫婦の会話『小説家とその女』
不幸の手紙が拡がる『横たえる蝶』の3編を収録。
収録の中の短編『横たえる蝶』を現在web公開しています。
いかるが
収録中の『あじさい』という作品は、子どもの頃に考えていた物語(妄想ばかりしているイタい子でした)で、家出をした少女が、大学生の男の子の家に拾われて、絆を育んでいく……という話で、まあ、なんとも思春期に考えそうな甘ったれた筋書きだなと我ながら思うのですが、こういった過去の妄想を書き留めて形にして、過去の自分を供養するのもいいかなと思っていはじめました。
実際は、1年間くらいの出来事の物語なのですが、収録のものは、最初の2か月間分のものを書きました。個人的思い入れのあるものを再構成にするのは結構難儀なもので、そして、ずっと昔に考えていた話をそのまま書いてもなんだか薄っぺらくて仕方がいので、手を加えていくしかありません。なんども行き詰まり、全編を書ききることができませんでした。いつかリベンジ。
『小説家とその女』は会話のみの話です。こういうのは書いていてたのしいのですけど、こういう風景描写のないモノを書いていると、小説としては怠惰なのではないかなと思ってしまいます。ちょっとためらうスタイルです。
『横たえる蝶』は、やさぐれOLの話で、書いていて気がラクなのはこういう作品です。
知古
最初は『あじさい』という作品で一冊まとめる予定でしたので、色とりどりの紙を使おうと考えていました。そこで、折り紙に印刷してみたらどうだろう……と思い、良さそうな折り紙をネットで検索したところ、和紙の折り紙があることを知って、買ってみました。
折り紙を半分に折って、本にしています。表と裏が違う色の折り紙で、ページごとに色が変わります。話ごとに色の和紙で製作しています。
3作それぞれを分冊して製本しました。3冊セットで、短編集『あじさい』として文学フリマに出品しました。
こういった製作をすると、コストがかさんでしまうのが欠点で、5部しか出すことができませんでした……
文学フリマの販売のときには、付録として『オオルトの雲』という短編もつけています。